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マンション法(区分所有法)改正について

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[マンション法(区分所有法)改正について]2012.1.1

 1月4日の日経1面トップに、「マンション建て替えやすく」とのタイトル記事が載っていました。要旨は、老朽化したマンションの建て替えを促すために、区分所有者による議決要件を緩和し、また現在の敷地とは別の敷地に建て替えることも認めるというものです。
議決要件は、現在、所有者の頭数および専有面積の面積比率による議決権の5分の4以上の賛成によることが必要ですが、これを頭数、専有面積比率いずれも3分の2以上の賛成で議決成立とするものです。

 私が現在継続的に相談を受けているマンションは、築40年も経ち、相当老朽化しており、何よりも耐震対策がきちんとなされていないために関東大震災が再び起きたときに倒壊してしまわないか心配しているほど、建替えが至急必要な代物です。
ところが、頭数および専有面積比率で5分の4以上の賛成が得られるめどが立たず、共有部分の改修すらもままならない状況です。日経の記事にも「現行では、反対する一部の住民が『今の家に住み続けたい』『資金は出せない』などと主張。」とありますが、まさに当該マンションも同じ状況です。
日経の記事だけ読みますと、一部の住民がさぞや偏屈者か、ゴネ得狙いの人かと思いがちですが、一概にもそうではありません。当該マンションでも反対している人は、結構な年齢の人たちばかりで、老後の生活費確保がまずは先決で、とても建替えに必要な負担金を拠出できるだけの経済力がない人が多いのです。今の区分所有の部屋に住み続けたい、資金は出せないというのは、ごもっともでしょう。結構、共通して言われるのが、「死ぬまでここで住み続けさせてください。ちゃんと管理費用も支払います。死んだら、私の区分所有権は、管理組合にタダであげます。」ということです。タダでくれるといわれましても、不確定期限ですし、何より結構そうおっしゃる皆さん、お元気そうですからねえ。マンションの寿命よりも長そうな・・・・。当該マンションの状況は、きっと日本中のマンションと似たり寄ったりではないかと思います。

 ということで、今回のマンション法改正の動きは、老朽化したマンションの建て替えを促進する意味で意義があることと思います。
しかしながら、かような建替え費用を負担できない人たちのケアも重要になってくると思います。日経の記事では、「工事の間、住民に公営住宅の空き室を低料金で提供することを検討する。」とありますが、費用負担できない区分所有者に、公営住宅や、公営老人ホームなどへの優先的な入居が可能にできるシステム迄も考えてもいいのかもしれません。