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最近の解決事例紹介(企業法務編)− FA報酬のケース 2012.11.15

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 今回、東京地裁で和解が成立した事案は、M&A仲介会社が、M&Aの依頼者に対して、FA(財務アドバイザー)報酬を請求したにも拘らず、M&Aが成立する直前に当該M&A仲介会社を飛び越して、売り手と買い手で直接契約を結んでしまい、FA報酬が支払われなかったというものです。

 本件では最終的に和解が成立して、一定額の和解金が支払われることになったのですが、私が問題にしたいのは、如何にM&A仲介会社による財務アドバイザー業務が世間において認知されていないかというところです。今回の裁判官は、その点、財務アドバイザーという職種に対して色眼鏡で見ることはなかったのですが、数年前、民事再生手続における事業譲渡に関してFA報酬が問題になった訴訟案件では、担当した若い裁判官が全く財務アドバイザーというものを理解せず、“単なるブローカーですか”というレベルでの認識で、非常に苦労したケースがありました。

 M&Aの世界における財務アドバイザーの役割というのは、不動産の世界における不動産仲介会社の役割とパラレルに考えられ、非常に重要かつ大変です。1円でも高く売ろうとする売り主と1円でも安く買おうとする買主の間に挟まれ、価格交渉の調整のみならず、物理的にモノが動くことにより発生する種々の問題の調整役として、本当にクロージングまで、まさに血のでる努力をして初めて案件が完結するというものです。つまり、単に案件を持ってきましたがいかがというマッチングだけではないということです。もちろん、マッチング業務も人脈がなければこなせない大変な業務であるのですが、科学教室における水素と酸素をくっつけましたら水になりましたという実験ではなく、生きた人間同士のマッチングですから、FAは単なる情報提供だけを業務としていると考えるのは間違っているのです。

 そのあたりの財務アドバイザーの業務というのは、決して沢山の書類を作ればいいというものではなく、如何に人と人のハートを結び付けるかという極めて“ソフト”としての内容を含んだものですから、「どんな業務をしたのか、証拠を出してみなさい。」と言われるとなかなかM&A仲介会社としてつらいものがあります。私の懇意にしているM&A仲介アドバイザーの人から、「そろそろ、M&Aの案件がまとまりそうなのですが、クライアントからFA報酬を値切られそうなのですが、何か妙案ありませんか。」という相談を受け、「纏まる前のこの時点で、FA報酬についての計算書を作って、確認印を取っておいてはどうですか。」と回答したことがあります。その方は、早速抜かりなく一筆を取られたようで、事無く回収できたようです。FA報酬に限らず、債権回収は、早め早めで手を打っていくということでしょうか。

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