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最近の解決事例紹介(企業法務編)− グループ企業間における紛争解決の一事例 2016.8.1

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 顧問先の会社社長から、グループ企業から売掛金(相談者からすれば買掛金)請求の調停を申し立てられたとのことで、その対応をどうすべきかという相談を受けました。顧問先会社というのは、調停の申立人である企業が製造する製品を商品として仕入れて、第三者に販売するというビジネススキームを取っていましたが、申立人会社の経営者は、相談者の実の父親であり、当初は顧問先会社も申立人会社が設立したものでした。現在は、相談者が顧問先会社の株式の過半数を保有していますので、いわゆる親子会社という関係ではないにしても、相当緊密な関係にあることは間違いありません。相談者の経営的実力もあり、顧問先会社は経営的に安定し、申立会社以外のルートでの仕入れなどにより、これからの発展が見込まれている矢先のことでした。

 上場していない中小企業ではありがちなことですが、申立人会社の経営状況に応じて、関連会社に商品を押し込んだりして財務的な数字を調整するということが申立人会社と顧問先会社の間で行われていたようで、それは相談者が顧問先会社の社長に就任する以前に行われていたため、相当な“実際の商取引に基づかない”買掛金が残っていたとのことです。今回は、現在、実際に動いている商品の買掛金のみならず、当該“実際の商取引に基づかない”買掛金まで支払えという請求をしてきたもので、相談者にとってみれば全く納得のいかない調停申立でした。

 調停が始まり、最初の数回は、調停委員から本当にそのような買掛金が存在したのかというごもっともな事実確認が続けられ、顧問先会社としては、実取引に基づく買掛金であれば、当然支払うということで、調停委員としても当方の主張に大分耳を傾けてもらってきたところで、申立人会社及び当方に対して、「和解するとすればどのような条件であれば呑めるのか」という打診をしてきました。そこで、相談者としては、申立人会社は相当キャッシュフローがタイトになってきたため、顧問先会社から相当な買掛金を回収して、申立人会社の運転資金に回したいという意向であり、究極的には、申立人会社は、顧問先会社を吸収合併して、顧問先会社の保有するキャッシュを使いたいというのが本音というのが、相談者の耳にも入っていましたので、当方としては、実取引分のみの買掛金を分割弁済するという第1案と、相談者が保有する顧問先会社の全株式を申立人会社に譲渡するという第2案を調停裁判所に提出しました。

 その上で調停期日に出廷したところ、調停委員から、申立人会社は非常にキャッシュがタイトであるので、第1案でも、第2案でも顧問先会社の条件を呑むので、とにかく至急和解を成立させてほしいという話があり、当方としてはこれ以上申立人会社との関係が残ると買掛金だけの支払のみならず、それ以上の要請(運転資金の融資など経営支援の要請)をしてくる可能性が高いと状況判断し、それでは第2案で和解を成立させてほしいということで、当該期日のわずか1週間後に和解を成立させることとなりました。

 和解期日までに和解条項案を当方と裁判所との間で詰めて、顧問先会社及び相談者としては、これでほぼ申立人会社とは“縁切り”となる和解条項案を確定し、和解期日に会社経営に関わる全てのもの、実印、印鑑カード、銀行印、銀行通帳などを全て引き渡し、和解を成立させました。本来ならば、申立人会社の経営者としては、実の息子にグループ企業の経営を全面的に任せるのがベストなのですが、ここまで両者の関係がこじれてしまってはもはや関係修復というのは難しく、まさしく大塚家具のような覆水盆に返らずという調停事件でした。
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