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最近の解決事例紹介(不動産編)− 住居系テナントの立退き 2015.11.1

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 以前から依頼を受けて、都内所在のアパートの立退きを担当してきました。当該アパートは、築年数が相当経過し、耐震性についても基準を下回っていましたので、オーナーとしては早く現在のアパートを取り壊して、安全な建物を再築したいと考えておりました。当該アパートには、店舗を営んでいるテナントと居住目的の賃借人が2軒あり、店舗については既に立ち退きが完了していましたが、残り居住系テナント2軒について引き続き立退き交渉を継続してきました。その2軒とも店舗の立退き交渉時についた代理人弁護士が、代理人として付いていましたが、店舗立退きの和解が成立した時点で、双方とも代理人弁護士がついていましたので、残りの2軒については、訴訟ではなく調停を申し立てることにしました。

 この度、2軒のうちの1軒の賃借人において、転居先が見つかったので、ついては、立退き料支払い合意ができれば、建物明渡をするという提案がなされました。問題は、その先方の立退き料の要求額でした。当方としても、それ相応の立退き料を用意する心構えでいましたが、あまりに高額の提示を受けましたので、驚いてしまったのです。なぜ、そんなに高い要求額になってしまったかというと、実際の立退きに係る費用の補償、すなわち、転居先と現在の賃料との差額の相当期間の補償額、賃借建物内の未償却資産の補償、引っ越しに伴い発生する費用などに加え、当該賃借人がその建物内で内職をしていたというので営業補償も見てほしいということで、それらを積み上げただけでも相当な金額になったところに、いわゆる借家権価格を加えていたからでした。このあたり、弁護士でも誤解が多いのですが、不動産鑑定士が立ち退き料を鑑定する際には、観念抽象的な立退き料要素としての「借家権価格」と、個別具体的な立退き料要素としての実際の立退きに伴い発生する費用とを、それぞれ例えば50%、50%として割合評価した額の合計額を算定して、立退料額とするのが一般的です。アバウトな言い方をすれば、借家権価格と実際に見込まれる費用とを足して2で割るのであり、両者を足すというのではないのです。そこで、当事務所からは、まずこの誤解を指摘し、あわせ、内職で行っている営業では、いわゆる営業権を認めにくいということを反論しまして、当事務所算定の立退料額を提示しました。

 結局最後は、両代理人間での話し合いにより、双方主張額の間の数字で立退料についての合意が成立し、次回調停期日において立退きに関する調停が成立し、先日、当該借家人は建物を明け渡して頂き、(当然当方からは立ち退き料を支払い)、無事立退きが完了しました。
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