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最近の解決事例紹介(不動産編)− 建築紛争と裁判手続 2015.8.1

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 依頼者から都区内に所在する住宅の庭に設置されたウッドデッキの塗装工事の瑕疵についての相談を受けました。そのウッドデッキというのは、特殊な材質でできたもので、年月を経過することでいわゆる風合いが出てくる素材でしたが、その過程段階では変色が起きたと誤信してしまうこともあり、依頼者が当該住宅に出入りしていた灌漑設備業者に相談したところ、その業者が安易に上塗り塗装をすればよいと請け負ってしまったものです。ところが、素材の特者な材質からかその塗装工事はうまくいかず、それでは塗装をはがしましょうとなりましたが、その研磨作業もうまくいかず、最終的に放置されてしまったというものです。
 そこで、当事務所としては、業者の塗装工事を「請負契約」と判断し、民法634条に定められた請負人の瑕担保責任を追及することとしました。民法634条1項本文においては、「仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。」と規定されていますが、本事件においては、請負人が修補を放置してしまっていますし、そもそも依頼者が既に当該業者に対する信頼を失っていますので、今さら修補請求をしても意味ありません。民法634条2項本文においては、「注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。」と規定されていますので、今回の塗装工事による“瑕疵”についての損害賠償を請求できることとなりますので、損害賠償請求訴訟を提起することにしました。

 東京地方裁判所には、色々と専門訴訟を担当する部があります。例えば、交通事故を専門に審理する交通部、会社関係訴訟を専門に審理する商事部、行政訴訟を専門に審理する行政部などです。その中に、建築瑕疵紛争を専門に審理する建築部(民事第22部)があり、建築瑕疵紛争の実態に応じた機動的専門的な審理を行っています。本事件はウッドデッキの塗装工事ですので、厳密に言うと“建築”紛争ではありませんが、建物付帯物についての請負工事ということをよく説明し、民事第22部にて受け付けてもらいました。
 民事第22部における建築瑕疵紛争事件の審理がなぜ機動的専門的かというと、建築瑕疵紛争の複雑性に対応するために専門委員という建築瑕疵紛争に通暁した建築士、弁護士が審理に加わっているからです。形式上は、一旦審理を調停手続にするのですが、(ここがミソなのですが)調停手続と共に訴訟手続も並行させていきます。具体的には、裁判期日が、調停期日兼弁論準備期日として指定されることとなります。ご存じのとおり、調停手続というのは、最終的に両者が合意して調停が成立させれば紛争が解決するのですが、一方当事者が調停成立を拒絶する場合は、調停不成立となってしまいます。折角、建築士などの専門委員に瑕疵を一つ一つ吟味してもらい、問題解決への道筋が出てきたとしても一方当事者が拒否してしまえば、それまでの専門委員の努力が水泡と化してしまいます。そこで、訴訟手続(弁論準備期日)を調停期日と並行して進めていけば、一方当事者が途中で自分に不利になったとして調停を拒絶しても、裁判所としては、訴訟手続も並行して進めてきたので、判決をすることができるということになるのです。従い、当事者も自分に不利な進行だと感じても、拘束力のある裁判進行であることを理解しておれば、早い段階で和解などができるという意味で機動的ということなのです。
 本事件においても、専門委員に入って頂き、調停期日兼弁論準備期日が並行して進んだ上、進行協議期日として現地視察もして頂き、最終的には、和解案が裁判所から提示され、当方としては不満が残るところではありましたが受諾して(その内容については、またの機会にご説明させて頂きます。)、和解が成立することとなりました。
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