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最近の解決事例紹介(不動産編)− 建物立退きの強制執行 2014.12.1

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 東京近郊にて築40年も経つ老朽化した木造アパートの所有者から、「アパートを建て替えたいが、現在一人だけ賃借人が居住している。立ち退いてもらいたいが、なかなか話し合いに乗ってくれないので、何とか、代理人として説得してくれないか。」という依頼を受けました。当該賃借人は、高齢でどうやら親族と同居しているとのことでした。

 まずは、任意交渉からということで、話し合いを申し入れたのですが、けんもほろろに断られ、止む無く、地方裁判所に立退き請求事件として訴えを提起しました。立退き請求の訴訟においては、賃貸人が立退きを要求する正当事由が、賃借人の当該建物を使用継続する事情を上回ることが必要ですので、まず正当事由についての主張立証をする必要がありますが、なかなか実際のところ、賃貸人の正当事由が賃借人の事情を上回ることが認められることは少なく、そこで、借地借家法もそのギャップを埋めるものとしての財産上の給付、すなわち立退き料を提供することにより、ようやく賃貸人の正当事由が認められるという法理論を採っています。
 そこで、今回も、賃貸人側の正当事由として、現在の建物ではとても大震災が起きた時に耐えられないということで「建物の老朽化」と、当該建物を建て替えることにより、より賃貸面積が増加するという「建物の有効利用」を主張立証しました。あわせ、それでも賃貸人の正当事由が認定されない場合に備えて、相当額の立退き料を給付することと引き換えに、明渡判決を求めるように構成しました。
 第1回の口頭弁論期日には、当該賃借人と同居の親族が出廷したのですが、裁判官からの質問についても、全くかみ合うことのない回答を繰返すばかりで、全く埒が明かず、裁判所としては、次回期日に被告たる賃借人としての反論を提出するように訴訟指揮し、万が一、反論がなされない場合は、審理が終結されることになるということも、申し添えられました。しかしながら、第2回の口頭弁論期日には、被告は現れず、結局、審理は終結され、その後、当方の請求内容通りの判決が言い渡され、控訴期間が経過し、その明渡認容判決は確定しました。

 明渡判決をもらったものの、当方から、当該賃借人に対し、改めて面談を求めたものの、何らの回答も得られなかったので、やむなく、判決で決められた立退料を法務局に供託した上、建物からの立ち退きを要求したのですが、これも何らの反応もありませんでしたので、執行官に明渡しの強制執行を申し立てました。
 明渡しの強制執行は、いきなり賃借人を占有建物から排除するということはしません。まずは、催告執行と言いまして、執行官から占有者(執行では、債務者と言いますが、通常の意味の債務者とは違うものです。)に対し、判決等で建物を明け渡してもらわなければならないが、何時何時を実際の明渡日とするので了解するようにとの催告をするのです。この催告執行日には、賃貸人としては、執行業者およびカギ業者を同行させる必要があります。強制執行と言っても、執行官が占有者の家具類を建物から出してくれるわけではなく、実際には執行業者が力仕事をすることとなります。といっても、巷の引っ越し業者を連れていってもダメであり、執行手続に通暁し、その経験のあるプロの執行業者を手配する必要があるのです。また、鍵を開ける業者も、強制執行に通暁した業者を手配する必要があります。なにせ、執行官が執行に猶予する時間は約30分しかありませんから、てきぱきと執行業務を行う必要があるのです。ちなみに、実際の明渡執行日を、断行日と言います。今回は、執行官と同行して、催告執行に臨んだのですが、当該賃借人は相当抵抗をして、「絶対に出ていかない。」と主張していましたので、断行日は、相当てこずるのではないかと心配しておりました。
 しかしながら、断行日に当該建物に執行官、執行業者、カギ業者共々出向いたところ、既に建物はもぬけの殻となっており、どうやら断行を前に当該賃借人は自発的に出て行ったようです。ということで、執行官に執行調書を作成してもらい、執行業者らにもご足労いただいたことに礼を述べて、明渡しの強制執行が完了した次第です。
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