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英国のEU離脱とチャーチル

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[英国のEU離脱とチャーチル]2020.1.1

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 久しぶりにDVDの映画を観ました。タイトルは、「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」というもので、チャーチルが第二次大戦時に英国首相に就任してからの約50日間の活躍を描いたものです。まず驚いたのは、映画の主人公チャーチル首相ですが、歴史の教科書に出てくる本人の写真にうり二つであり、生きていたころはさもありなんという外形、発言です。ゲーリー・オールドマンという俳優が演じていたのですが、日本人のメイクアップ・アーティストである辻一弘が特殊メイクをしたものであり、メイクアップ前と後では全く別人のようであることが驚きでした。辻一弘は、この映画で第90回アカデミー賞のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しています。チャーチルにとどまらず、チャーチルの前の首相であるネヴィル・チェンバレンにしても、ミュンヘン会談に参加した時のチェンバレン首相が生き返ったかのごとく、本人そっくりなのに驚かされます。1940年代のロンドンに行ったことはもちろんありませんが、この映画には、きっとこのような風景だったのだなと思わせるほどの迫真性がありました。

 さて映画の内容ですが、1938年のミュンヘン会談において、ネヴィル・チェンバレン、アドルフ・ヒトラー、ベニート・ムッソリーニとの間で締結されたミュンヘン協定にもかかわらず、ヒトラーはポーランドに軍事侵攻を開始し、第二次世界大戦がはじまりました。ミュンヘン協定というのは、ドイツのチェコスロバキアのズデーデン地方の割譲を認める代わりに、これ以上の領土要求をしないという対ドイツ宥和政策でしたが、ヒトラーは全く遵守することもなく、ポーランド侵攻を開始し、西ヨーロッパに向けてはベネルクス三国に兵を進めるということで、その責任を取ってチェンバレン首相は辞任し、そのあとに就任したのがチャーチル首相でした。しかしながら、電撃作戦を仕掛けるドイツ軍にダンケルクに駐留するイギリス軍は壊滅寸前の事態に追い込まれ、チャーチル首相は、ドイツと講和するか、徹底抗戦するかという二者択一の判断を迫られました。ドイツと講和をするというのは、結局、欧州におけるファシズムを全面肯定するということになります。やめたはずのチェンバレン元首相は、チャーチル内閣に閣僚として留まっていて、ドイツとの講和を進めないと、同じく閣僚として入っていたハリファックス卿とともに辞任するぞとチャーチル首相に圧力を目いっぱいかけていて、チャーチル首相としては悩みに悩んだ末、感動的なラジオ演説するに至り、ドイツへの徹底抗戦を決意するというところまでの葛藤を描いたものです。英語版の原題は「Darkest Hour」というもので、まさにチャーチルにとっても、英国にとっても、さらには自由主義陣営にとっても暗黒の50日間だったといえます。しかし、このチャーチルの決断があったからこそ、最終的に自由主義陣営が、日本を含めたファシズム陣営に勝つことができたということができましょう。決断を出すまでは悩みに悩んだチャーチルであり、英国でしたが、決断したからにはぶれることなく、首尾一貫して戦争を戦い抜いたということでさすがの大英帝国といえると思います。
 2019年12月12日の英国下院総選挙で、ボリス・ジョンソン首相率いる保守党が勝利を収めました。これで、保守党の掲げる英国の20年1月末のEU離脱が決定的になったと判断されます。果たして、ボリス・ジョンソンは、ウィンストン・チャーチルのごとく、いったん決断したからには、どのようなあらしが吹こうともEUからの離脱を突き進めることができるのか、大英帝国の首相としてのかじ取りが見ものになりましょう。
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