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韓国との関係を改めて考える

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[韓国との関係を改めて考える]2019.8.1

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 本年7月、日本政府は、韓国向けの半導体など材料3品目(フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素)の輸出規制を厳格化する措置を発動しました。これに対して、韓国側は、「自由貿易に反する」として世界貿易機関(WTO)に提訴する構えをみせるなど猛反発をしています。韓国側が、これは徴用工問題に対する日本側の報復だと言っているところを見ると、韓国側も徴用工問題が両国間の“トゲ”であることは十分認識していたのですね。

 ともかく韓国としては、フッ化ポリイミドなど3品目が入ってこなくなることで、サムスン電子など韓国半導体メーカーにとっては大打撃を受ける可能性が出てきたとして国を挙げて大慌てな状況となっています。何せGDPの4割が輸出に依存している韓国としては、サムスン電子などがこけると、韓国経済に大きな影響が出てくるのが必至であることが想像に難くありません。韓国としては、日本がこのような形で徴用工問題、慰安婦問題、レーダ照射問題などに反撃してくることが予想できなかったのでしょうか。どうしてこのような事態が生じたのか、改めて韓国と日本との関係を分析してみたいと思います。

 まずは、あえてわかりやすい例えでドラえもんの登場人物になぞらえてみますと、韓国は、中国というジャイアンに、THAAD配備問題などでいじめにいじめられていた上に、アメリカという別のジャイアンからもいったいお前はどっちのジャイアンの子分なのかと問い詰められ、仲良くしてくれるしずかちゃんと思っていた北朝鮮は、実は(というか文大統領以外はみんな知っていましたが)ジャイ子だったのであって、人間関係がにっちもさっちもいかないスネオ君という立ち位置ではないでしょうか。唯一憤懣やるかたない憤りをぶちまけることができるのが、のび太こと日本だと思っていたところが“のび太のくせに”意外にも反撃してきて、実は日本はのび太ではなかったではないか(出木杉君とまでは言いませんが)と、驚いているというのが今の韓国ではないでしょうか。

 このようなのび太にも反抗される八方ふさがりのスネオになってしまったのは、歴史的な朱子学国家であったことが原因の一つではないでしょうか。明治4年、日本が清国との間で日清修好条規を締結しましたが、これは驚くべきことに清国が相手国と対等に締結した条約です。韓国は、日清戦争で日本が清国に勝利し、下関条約で、韓国の独立が認められて、初めて中国の冊封体制からの独立を果たすことができました。冊封体制というのは、中華王朝という世界の中心にある中国に対し、朝鮮や琉球など臣下の礼を取ることを強いられた大勢をいい、すなわち中国が兄であり、ジャイアンであり、朝鮮が弟でありスネオであるという体制です。この体制に逆らおうとすると中国の強大な軍事力により屈服させられるというものでした。このような冊封体制における兄弟の関係は、中国の国学である朱子学において厳しく定められていたものです。軍事力にて当初は屈伏していたスネオこと朝鮮も、その反動なのか、逆に中国以上に朱子学の国となっていきました。自ら小中華の国と称していたことがその表れでしょう(もちろん大中華は、中国です。)。韓国が中国以上に朱子学に染まってしまったので、朱子学を中途半端にしか受け入れなかった日本は、韓国からしてみれば出来の悪いのび太としてしか見ることができなかったでしょう。確かに、のび太こと日本は、“優秀”な人材を登用するための科挙も導入せず、易姓革命もおきない天皇制とか、野蛮国も同然と見ていたのでしょう。ところが、朱子学が中途半端だったおかげでのび太君は、朱子学のしがらみ無く明治維新を敢行し、あろうことか小中華である韓国を植民地化までしてしまったことに対して、単なる力に屈した以上の屈辱を味わっていたに違いありません。しかしながら、第二次大戦による敗戦で元ののび太に日本が戻ってしまい(それでも、高度成長で出木杉君にまた相当近づいたとは思いますが)、元の宗主国の中国や、新たな“宗主国”であるアメリカという2人のジャイアンにはぶつけられない怒りを日本にぶつけられることで、小中華の韓国としてはプライドが保てていたのだと言えるのではないでしょうか。であるからこそ、今回の日本政府の反撃が、韓国にとっては“のび太のくせに”という怒りが大きいのだと思います。これが2人のジャイアンがなしたことであれば、韓国国内でもこれほどのことはないと思います。

 もう一つ韓国国内が騒然となっている理由も朱子学の影響であるかと考えられます。朱子学においては、身分の違いをうるさく言う社会です。すなわち、士農工商という職業による身分差別です(日本でも士農工商はありましたが、士は武士であり、朝鮮での士は科挙により選抜された士大夫であるという違いがあります。)。中国もそうでしたが、朝鮮においても、物を作る職人などは非常に差別されていました。この点、朱子学が中途半端な日本においては、太古からの歴史でもありますが、物を作る職人は非常に尊敬されていました。今でも、韓国では子供が職人のような仕事に就くことを嫌悪するという風潮があり、ものつくり蔑視は完全には抜けていないのではないと思われます。皆さんの中には、それではサムスン電子という“ものつくり”の会社をどう評価するのかという反論があるかもしれません。しかしながら、サムスン電子のプライドは、スマートフォンなどの最終製品を韓国内で組み立てているというところにあり、その部品や材料、はては製造機器などは、多く野蛮国であるのび太こと日本などから輸入し、士であるスネオ様であるサムスン電子の手を汚すものではないと思っているのではないでしょうか。だからこそ、今回のフッ化ポリイミドなど材料を韓国国内で製造していなかったと言えるのではないでしょうか。半導体産業のみならず、自動車産業についても同様のことが言えるかと思います。もっとも、今回の日本からの輸出規制をきっかけに、スネオ君も自分でやるべきことは自分でやらなくてはと宗旨替えすることになるかもしれませんが。

 私は、今回のフッ化ポリイミド等の輸出規制については、韓国を困らせてやろうという次元のものでなく、ここまで悪化した両国間の関係、特にヒステリーを起こしているスネオ君も、やられっぱなしで鬱屈しているのび太君、両方がクールダウンするために、お互い少し距離を置いた方が良いのではないかという意味で、意義があるのではないかと思う次第です。韓国としても、何時までもいじめられるだけののび太こと日本としてみるのではなく、出木杉君ほどとは言わないにしてもリスペクトする姿勢を持つことが必要でしょうし、日本としても、2人のジャイアン、ジャイ子に首根っこ押えられた韓国の状況を斟酌して、それでもいうべきことは言うという強いのび太になっていく必要があるのではないでしょうか。
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