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[報道の自由を考える]2015.3.1

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 さて、韓国における産経新聞前ソウル支局長のパククネ大統領に対する名誉棄損事件については、日本からの非難は当然、欧米からもメディアによる報道の自由を侵害するものとしてバッシングされる中、初公判が行われました。朴大統領のメディアに対する敵愾心は異常なほどで、韓国内の他メディアに対しても、名誉棄損だ!と色々と追っかけているようです。一般人の女性ならばともかくも、一国の大統領という公人に関する報道については、相当程度の公益性が認められているものであり、行き過ぎとしか言えないでしょう。加えて、この事件は外国メディアに対する差別的行為として問題となるものです。産経新聞が中国・韓国に対する強硬的な論説を展開していることは周知の事実であり、(パククネ大統領の私生活の利益はともかく、)韓国の国益に反する外国メディアとして、見せしめとして局長を刑事事件として起訴したではないかというのは十分にうかがえるところで、出国禁止にしたうえ起訴するということは、たとえ在宅起訴であっても、いかがなものかと思います。

 しかしながら、ふりかえって、では日本という国は内外に対する報道の自由が保障された国といえるか、というと疑問符が付きます。日本における外国メディアは相当取材等が規制されているのが事実なのです。日本には、記者クラブ制度というものがあり(なんでも日本ぐらいにしか存在しないらしいのですが)、ウイキペディアでは、公的機関や業界団体などの各組織を継続取材を目的とするために大手メディアが中心となって構成されている任意組織であると定義していますが、要は日本の新聞・放送メディアの閉鎖的な談合組織です。外国メディアを含め、新規参入については、極めて消極的です。私も司法修習中に、地方公共団体の中にある記者クラブを見学したことがありますが、役所側の記者会見なども、大手新聞が幹事社を務め差配し、記者クラブ加盟社しか参加できず、閉鎖的な組織であると思いました。産経新聞前ソウル支局長事件のように、国家が外国メディアに対して報道規制・取材規制をなすことはよくあるのでしょうが、日本の場合の問題点は、民間の私的な団体である記者クラブにより、外国メディアの活動が制限されているという点なのです。

 かような情報に関する談合組織においては、記者クラブ内部での取材競争がなくなり、記者クラブ室の賃料免除など役所側からの利益供与もあり、結局は政府・地方公共団体から情報をもらうだけの存在となり、はたして、公権力のチェック機能を果たすことができるのか極めて疑問です。歴史的にも、この記者クラブ制度は、何と明治時代から存在し、当初は、取材の自由を守っていくための組織だったのが、太平洋戦争に突入すると、政治が大政翼賛会という戦時体制下がなされたと呼応して、記者クラブもその名も[翼賛クラブ]という組織になり、結局は大本営発表を何らの疑問も感じずにそのまま国民に報道し続け、国を滅ぼす一端を担ったという事実があります。すなわち、ニュースソースからの与えられる情報のみを提供しておれば一応マスメディアとしての体裁を取り繕うことができるとしてスポイルされてしまうことになるのです。それがなぜ恐ろしいかというと、結局マスメディアの方が、権力の顔色を慮うこととなり、真実を伝えることに萎縮効果が働き、権力に都合の悪いニュースを自主的に規制することになってしまうのです。
 憲法で保障された報道の自由は、国民の知る自由と表裏一体のものであり、マスメディアには、国民の人権補償をサポートする立場であるということを改めて考え直して頂き、記者クラブの改革のみならず、既に生じている安倍政権における特定秘密保護法・集団的自衛権に関する報道における萎縮効果、自主規制を自ら認識して克服するように頑張ってもらいたいと思います。
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