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アメリカ合衆国の最高裁 |
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[アメリカ合衆国の最高裁]2025.12.1
日本の最高裁判所は、日本国憲法第76条1項において、「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」と規定されていることから、司法権のトップに立つ国家機関になります。最高裁判所裁判官は、最高裁判所長官1人と最高裁判所判事14人の15人で構成されています。最高裁判所は、日本国内の裁判事件の上告及び訴訟法が定めている抗告について最終的な判断を下し、法令解釈の統一を図る権限を持ち、さらに、法令の憲法適合性について決定する終審裁判所となる(憲法81条)ことから、最高裁判所は「憲法の番人」と称されます。
日本の最高裁判所長官は内閣の指名に基づいて天皇が任命する(日本国憲法第6条第2項)ということになっており、最高裁判所判事は内閣が任命し天皇が認証する(日本国憲法第79条第1項、裁判所法第39条第3項)ことになっています。最高裁の裁判官になる資格は裁判所法で「識見が高く、法律の素養がある40歳以上の者」と定められています。15人のうち、少なくとも10人は裁判官、検察官、弁護士など、法律家としての経験が一定期間ある人とされています。ということは、いわゆる法律家でない人も最高裁の裁判官になれるということになります。ちなみに、現在の15人を出身別で見ると、裁判官6人、弁護士4人、検察官2人、行政官2人、学者1人という構成になります。ここからは裏話的になりますが、裁判官からの登用は、最高裁判所の組織として事務総局というところがあり、ここが司法行政を一手に担っていますので、ここで候補者が決められて内閣に推薦されて、内閣が任命するということになっていて、決して内閣が恣意的に決められるというものではありません。弁護士からの登用も日弁連が候補者を選定し、最高裁判所を経由して内閣に推薦されて任命されるということで、ここも内閣の恣意的な任命ができないシステムとなっています。検察官からの登用も検察庁の内部で候補者が選任され、それを内閣が任命するというということで、検察庁は行政機関ではありますが、一応“準独立”性を有していますので、内閣の恣意的任命は困難といわざるを得ません。問題は、行政官からの登用ですが、これは多くは外務省出身者などで、確かにこの2人枠は内閣がその意思で決められるということになりましょう。学者枠1人も同様に考えられるかもしれません。したがって、日本の最高裁においては15人中、“たった”3人しか、内閣、すなわち内閣総理大臣が事実上の任命権を持っていません。このあたりも司法権の独立が、人事面でも保証されているといえるかと思います。 この度、次のようなニュースが流れました。「米連邦最高裁は5日、トランプ米政権が発動した「相互関税」などの合法性を巡る訴訟の口頭弁論を開いた。共和党政権と価値観が近い保守派の判事からも、追加関税が法律に基づく大統領権限の範囲内かどうか疑問視する声が上がった。一方、原告側の主張を追及する場面もあり、結論は見通せない。・・・合法性が問われたのは、大統領が非常事態を宣言して経済取引を制限できるとする国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置。相互関税や、合成麻薬フェンタニルの流入などを理由とした中国、メキシコ、カナダへの追加関税が対象となった自動車や鉄鋼といった分野別の関税は含まない。」というものです。アメリカの最高裁は長官のロバーツ氏を含む保守派6人、リベラル派3人で構成され、保守派のうち3人は第1次トランプ政権で指名されたものです。そうです、アメリカでは最高裁判所の判事が欠員となると、大統領が指名権を持っているので、大統領が“自由に”最高裁判所判事を指名できるのです。もちろん、大統領が指名しても上院での承認が必要となるので、そこで歯止めがかけられるわけですが、第1次トランプ政権では、不幸なことに(?)立て続けに最高裁判所判事に欠員が出て、トランプ大統領が、当然のことながら(!)保守派の判事を3人も指名して、上院も共和党が多数派ですので、何の問題もなく任命が完了したということです。そのため、現在のアメリカ最高裁は、きわめて保守色が強くなっており、大学入試における人種考慮(積極的差別是正措置)の禁止や、学生ローンの免除に対する違憲判断など、保守的な内容の判決が出されています。 トランプ大統領は、今回の関税措置についても、たとえ裁判になっても“俺様が指名してやった恩義を忘れないだろうな”ということで、よもや違憲と判断されることはないと高をくくっていたのですが、さすがに最高裁は司法権の独立を主張し、決して盲目的にトランプ大統領の政策に“裏版”を押すことはないということをロバーツ長官が表明したものと思われます。トランプ大統領は、行政権、立法権を抑え、司法権も自分の言うことを聞くだろうということで、あたかも現代の皇帝になった気でいたのが、冷や水を浴びせられた気持ちなのかもしれません。今後の合衆国最高裁の動向が気になります。 |
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