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昭和16年夏の敗戦 |
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[昭和16年夏の敗戦]2025.10.1
猪瀬直樹といえば、西武鉄道の旧皇族の土地を買収していく中で「ミカド」についてのタブーに触れまいとする日本の<不可視のシステム>の存在について書いた『ミカドの肖像』や、天皇の崩御に伴う代替わりにかかわり、天皇制について切り込んだ『天皇の影法師』などの皇族関係の著作に秀作があり、そこから敷衍した戦前戦後に関する著作、例えば『土地の神話』、『東條英機 処刑の日―アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」』、『ジミーの誕生日―アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」』などが秀逸です。
猪瀬直樹は、東京都知事に当選したものの中途で辞任せざるを得なくなり、その点は、舛添要一も色々あって東京都知事を辞めざるを得なくなったのと似ていますが、舛添要一も『ヒトラーの正体』、『ムッソリーニの正体 ヒトラーが師と仰いだ男』、『スターリンの正体 ヒトラーより残虐な男』という歴史もの三部作を書いており、このあたりも猪瀬直樹に似ているところがありますね。 さて、猪瀬直樹の著作の中で、私が好きなのは、『昭和16年夏の敗戦』です。太平洋戦争開戦直前の1941年(昭和16年)の夏、内閣直属で総力戦研究所を設立しました。同研究所では、各省庁、陸軍・海軍、民間から30代の優秀な人材を出向させて、アメリカと開戦した場合に戦局がどのように推移していくかというシミュレーションを行いました。そのシミュレーションでは、「日本必敗」という結論が導き出されました。その結論は、東條英機内閣にも報告されたのですが、東條には一顧だにされず太平洋戦争へ突入、シミュレーションのとおり、日本は敗戦を迎えたというノンフィクションです。どのようにシミュレーションしたかというと、各省庁、陸軍・海軍、民間から派遣されてきた若手メンバーが、それぞれの出身母体のトップの役を演じ、“机上演習”にて、1か月を単位として、アメリカに対し開戦した場合、どのように戦局が進んでいくかということを具体的な数字をもって検討したというものです。その演習の結果は、「開戦後、緒戦の勝利は見込まれるが、軍事的に確保したインドネシアなどの石油は生産はされるものの、それを輸送する船舶がアメリカにより沈められることにより、石油が日本に入らず、その後の推移は長期戦必至であり、その負担に青国(日本)の国力は耐えられない。戦争終末期にはソ連の参戦もあり、敗北は避けられない。ゆえに戦争は不可能」という「日本必敗」の結論に至ったというものです。この結論に至る過程は、非常に現実に近いものであったため、極東国際軍事裁判においても、この総力戦研究所が太平洋戦争のシナリオを描いたのではないかという疑いをかけられたくらいです。 このシミュレーションの結果を、東條英機は机上の演習に過ぎず、日露戦争のように不利な状況でも勝てる可能性があるとして何ら採用しませんでした。もはや、東條は客観的事実を冷静に見ることができず、開戦に至ってしまったという感じです。私が思うのは、国の各機関から優秀な若手を選び出して、一か所に集めてテーマを検討すれば、現在でも立派に国家戦略を検討するシンクタンクとして機能するのではないかと思うのです。さすがに、「総力戦研究所」という名前にするわけにはいきませんので、「国家戦略研究所」という名前にでもして、内閣直属の国家機関とすべきでしょう。例えば、“IT国家創設のための戦略”というテーマであれば、省庁からは、経済産業省、総務省などから、民間企業からは、ヤフー、楽天などの企業から、“将来その組織で幹部になれる実力を有する人材”(これは、昭和16年の総力戦研究所での選抜基準です。)を出向させ、それぞれが、経済産業大臣、総務大臣、楽天社長、ヤフー社長の役割を演じ、いかにして日本をIT国家にしていくか、創設していくかをシミュレーションして、必ず結果を出すというものです。参加する各組織の若手人材にとっても、格好の教育の場となるはずです。実際、昭和16年の総力戦研究所でも、日本銀行総裁の役を演じた佐々木直は、実際戦後に日本銀行総裁となっているのです。テーマごとに班を作って、メンバーを集めてということで、多角的に研究していけばいいかと思います。大した費用もかからないので、是非とも日本政府として国家の来し方行く末、すなわち国家戦略を作るシステムを作ってほしいと思う次第です。 |
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