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秋篠宮眞子さまの皇籍離脱

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[秋篠宮眞子さまの皇籍離脱]2021.10.1

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 読売新聞が、令和3年9月1日の記事にて、「眞子さまと小室圭さん、年内に結婚…儀式は行わない方向で調整」というスクープをぶちあげました。“婚約が内定している秋篠宮家の長女眞子さま(29)と小室圭さん(29)が年内に結婚されることが関係者への取材でわかった。”とのことですが、一体関係者って誰だろうという疑問が湧いてきますし、宮内庁からは何ら公式のコメントが出されていません。読売の先走りではないかという意見もありますが、結婚を認める条件として、眞子さまが皇籍を離れる際に交付される一時金の辞退、納采の儀など婚姻に係る皇室行事の不実施が取りざたされています。もしそのような条件で婚姻が認められるとすると、ほとんど駆け落ち婚に近いものとなるのではないでしょうか。皇室の歴史上、前代未聞であり、このような事態に至った原因を作った小室親子には、非難轟々の状態です。多くの国民は、たとえ一時金辞退し、婚姻の儀式を行わないとしても結婚自体に反対というのが実情です。

 眞子さまの結婚が実現した場合、マスメディアでは、「結婚一時金は皇籍を離れる内親王の品位を維持するために必要な金員であり、必ずもらわなければならない性格のものであり、辞退はできない。」という論調がありますが、果たしてどうでしょうか。法律の条文から検証してみたいと思います。
 皇室経済法6条には、「皇族費は、皇族としての品位保持の資に充てるために、・・・皇族であつた者としての品位保持の資に充てるために、皇族が皇室典範の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額により支出するものとする。」と規定されています。これが結婚一時金と言われるものの法的根拠となります。皇室経済法6条7項には、

 「皇族がその身分を離れる際に支出する一時金額による皇族費は、左の各号に掲げる額を超えない範囲内において、皇室経済会議の議を経て定める金額とする。
 一 皇室典範第十一条、第十二条及び第十四条の規定により皇族の身分を離れる者については、独立の生計を営む皇族について算出する年額の十倍に相当する額
 二 皇室典範第十三条の規定により皇族の身分を離れる者については、第三項及び第五項の規定により算出する年額の十倍に相当する額。この場合において、成年に達した皇族は、独立の生計を営む皇族とみなす。」

 と規定されています。眞子さまが結婚と同時に皇籍を離れるのか、結婚前に皇籍を離れるのかいずれにしても、同7項1号か2号に該当します。そうしますと、皇室経済会議が“左の各号に掲げる額を超えない範囲内において”結婚一時金を決めることになりますから、皇室経済会議が眞子さまの辞退の意思を忖度するのであれば、ゼロ円と議決することも可能なのです。また、皇室経済会議が、眞子さまに1億5000万円を支給するという決議をしたとしても、眞子さまの判断により、一時金の受領を拒否することは可能です。日本共産党が、国からの政党助成金の受領を拒否しているのとパラレルで考えられるでしょう。ということで、この論点は、無理やり眞子さまに結婚一時金をもらってもらうことはない、ということになりましょうか。

 とはいえ、金銭問題が取りざたされている小室親子であり、結婚後はNYで生活をするとのことですから、幾ら弁護士としての収入が入ってくるとしても、結婚一時金を放棄した場合、とても元皇族の品位を保持できるような生活ができるかは極めて疑問です。多額の警備費用などはどうするつもりでしょうか。法律上、秋篠宮家から皇籍を離脱した眞子さまに生活費の補助ができるのでしょうか。そもそも憲法8条には、「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。」と規定されています。これは、皇室が特定の国民に対して財産を譲渡をしたり、逆に特定の国民から財産を譲受けしたりすることにより、皇室に政治的権力が集中することを防ぐための規定です。憲法8条を法律レベルで規定したのが、皇室経済法です。同法2条においては、

 「左の各号の一に該当する場合においては、その度ごとに国会の議決を経なくても、皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与することができる。
 1号 相当の対価による売買等通常の私的経済行為に係る場合
 2号 外国交際のための儀礼上の贈答に係る場合
 3号 公共のためになす遺贈又は遺産の賜与に係る場合
 4号 前各号に掲げる場合を除く外、毎年四月一日から翌年三月三十一日までの期間内に、
 皇室がなす賜与又は譲受に係る財産の価額が、別に法律で定める一定価額に達するに至るまでの場合」

 と規定されています。もし秋篠宮が、小室眞子さんに財産を譲渡するには、4号にひっかかってきそうです。そこで、皇室経済法2条をさらに“別に法律で定めた”のが、皇室経済法施行法2条です。同条には、

 「法第二条第四号の一定価額は、左の各号による。
 一 天皇及び法第四条第一項に規定する皇族については、これらの者を通じて、賜与の価額は千八百万円、譲受の価額は六百万円とする。
 二 前号以外の皇族については、賜与及び譲受の価額は、それぞれ百六十万円とする。ただし、成年に達しない皇族については、それぞれ三十五万円とする。」

 と規定されています。ということは、秋篠宮は1号に該当するでしょうから、小室眞子さんのような国民に賜与することができる金額のマックスは1800万円ということになります。もちろん他にも賜与する先がありえますので、全額を小室眞子さんに賜与するわけにはいかないでしょうから、1800万円よりも少ない金額となりますが、いずれにしてもNYでの警備費用なども到底賄えないのであり、“秋篠宮家から無尽蔵に金が流れる”ということは、法律上できないということになります。

 何よりもまだ小室圭氏はNY州の司法試験に合格していないのですし(合格率は80%という話も聞きますが)、運よく事務所には入れたとしても生き馬の目を抜くNYにおいて果たして生き残っていけるのか、この結婚問題は、結婚できたからと言って終わりというものではないといえましょう。
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