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最近の解決事例紹介(企業法務編)− 動産の引渡請求事件 2015.1.1

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 以前事件を受任しました依頼者から、全く別件ということで相談を受けました。依頼者は、著作権者からの依頼により、商業販売できるようにDVDを機械で多量に複製するという事業を行っていたのですが、数年前に当該事業に付いては、第三者に全て事業譲渡してしまったので、手元には依頼されたDVDはもとより、書類関係もすべてない状態になっていたところ、ある著作権者A社から、マスターテープが依頼者のところにあるとのことで、それらマスターテープを返還してほしいという請求がきたというのです。
 実は、依頼者のところには、事業の譲受人会社から、マスターテープではなく、大量複製のための金型とでもいうべきスタンパーが返還されてきていました。依頼者としては、そのスタンパーを作らせたのは、A社ではなく、B社だったのですが、B社が行方不明となってしまい、請負代金が未回収となっていたので、A社からマスターテープではないけど、スタンパーでなにがしか回収できないものかと、A社と交渉したのですが、結局何も得られないということで、当該スタンパーを廃棄処分してしまったところ、A社からマスターテープの返還もしくは損害賠償請求の訴えを提起されたというものです。

 しかしながら、A社が主張するマスターテープ(本数としては相当数あったのですが)については、依頼者としても手元になく、B社と連絡がつけば、B社に当該マスターテープの所在を確認できるのですが、それもできず、当方からは、廃棄したのはスタンパーであり、マスターテープについては占有していない旨反論しました。裁判所からも、当該マスターテープについて、依頼人のもとに占有があることを立証してもらう必要があり、A社からB社、B社から依頼人への占有移転の事実を立証するように訴訟指揮がありました。
 A社からは、A社からB社に占有移転した旨の証拠が提出されましたが、A社も行方不明のB社と連絡が取れなかったようで、B社から依頼者への占有移転については、どうやら証拠が取れなかったようでした。
 ということで、結局は、裁判所にも間に入ってもらい、両者間でいわゆるゼロ和解を成立させることとなり、本事件は解決することとなったのですが、思ったのは、やはり動産関連事件というのは、請求の対象となる動産自身がどこに所在するか、誰が占有しているかの立証がカギとなってくるということで、特に商品の販売会社は、販売した直接の相手方のみならず、販売した商品がどこに転売されているかまでトレースができるようにコントロールしておく必要があると感じた次第です。トレーサビリティというのは、製造物責任の問題のみならず、現品返還・代金回収においてもかかわってくる問題といえます。
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