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最近の解決事例紹介(企業法務編)− 仮差押えを活用した債権回収 2014.10.15

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 今回の依頼者は、以前から会社関係の相談を受けていた人ですが、友人の会社が金融機関から借り入れをするのに、連帯保証をしてしまい、結局、その友人の会社が弁済をしないものですから、依頼者が残債務全額を代位弁済したというものです。その金融機関は相当に取り立てが厳しく、残債務を弁済しない限り、直ちに依頼者の自宅を差し押さえて、競売に掛けるというものでした。依頼者から保証契約の書面を見せてもらうと、その友人会社の借り入れには、依頼者の連帯保証の他、代表者である友人自身、およびその友人の親族が連帯保証人として名を連ねていました。

 そこで、主たる債務者である友人会社に対しては、依頼者の代位弁済額全額を求償することとしましたが、依頼者の話を聞くとどうやら友人会社はほとんど営業活動をしておらず、回収の対象となる相当な資産も見当たらないということでしたので、他の連帯保証人に対する求償もすることとしました。そして、依頼者に当該友人と、その親族の資産状況を聞いてみたところ、その友人は年齢的には年金受給を受けており、会社同様回収の対象となる資産も見当たらないとのことでしたが、その友人の親族は、自宅などの不動産はないようだが、名の通った企業に勤務しており、会社名も判明しているとのことでした。不動産は所持していなくても、きちんと会社に勤務している人は、例月の給与自体が立派な資産となりますので、高齢の友人に対する求償は半ばあきらめ、同じ連帯保証人同士である意味申し訳ないところもありますが、その友人の親族の給与を回収の対象と見定めることとしました。ただし、連帯保証人間の求償は、負担の割合の範囲内、すなわち今回連帯保証人が3人いますので、依頼者から他連帯保証人へは、それぞれ弁済額の3分の1しか求償できないこととなります。

 給与の仮差押えには、当該債務者の勤務先の正式名称が必要となりますので、グループ会社の所属だったりした場合には、仮差押えも空振りに終わってしまいますが、今回は、仮差押えの申立後、勤務先から「第三債務者陳述書」が送付されましたので、実際に勤務していることが判明し、あわせ、次月の給与分から仮差押えの効力が発生することとなりました。なお、給与の仮差押えというのは、全額押さえてしまうと、債務者も生活できなくなりますので、民事執行法上は、いわゆる手取り額の4分の1(手取り額が44万円を超えるときは手取り額から33万円を差し引いた金額が差押えの対象となりますが)と決まっています。
 何とか、仮差押えができたので、即刻、友人会社、友人自身、および友人の親族に対して、求償金請求訴訟を提起しました。被告らにも代理人弁護士が付き、何回か弁論期日を重ね、裁判所からも和解の話が出てきて、被告らの代理人弁護士も利益状況を冷静に判断の上、和解が一番得策と考え、結局和解が成立しました。
 被告ら、特に友人の親族は勤め人であり、万が一、給与が仮差押えから本差押えに切り替わったとすると、やはりいろいろと立場も悪くなることであろうことが想定されたので、被告らとしても和解に乗る機運が出てきたものと判断されました。

 依頼者としましては、代位弁済した額の3分の1しか回収できないのですが、それでも和解が成立したことで、友人らにも任意で支払うという動機付けにもなり、万が一、支払いが滞る場合には、友人の親族が当該会社に勤務している限り、その給与に本差押えをしていけるということで抑止力にもなっているということで、何とか納得して頂きました。
 今回は、被告らの代理人弁護士にも相当被告らを説得してもらって、客観的におかれた状況を冷静に分析してもらったことも和解成立の大きなポイントかと思います。
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