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先日亡くなった父の遺産分割において、兄から「寄与分」の主張をされています。というのも、父は定年退職後、兄と同居して(自宅は父の所有)いまして、亡くなる数年前から痴呆症が顕れ、兄夫婦が相当面倒を見たというのが、寄与分の理由です。確かに、私は父と同居もしていなかったので、兄が父の晩年の面倒を見てくれたことは感謝していますが、遺産分割の中で寄与分として認められるべきものなのかが疑問です。


寄与分とは、共同相続人中に、被相続人(亡くなられた人)の財産の維持または増加について特別の寄与をした者がある場合に、他の相続人との間の実質的な公平を図るため、その寄与相続人に対して相続分以上の財産を取得させる制度であり、民法904条の2に規定があります。
たとえば、子供が親と一緒に家業発展に貢献し、被相続人の遺産増殖に寄与した場合などがあげられます(しかし、その子供が給与を受領していたというとなかなか貢献認定が難しいかもしれません。)。
このような制度があることを相続人の方が知識として仕入れると、「じゃあ、亡くなるまで俺(この質問のケースでは相談者のお兄さん)が親父の面倒を見たんだから、遺産が増殖はしていなくても、減ることはないという意味で維持しているよな。」と、寄与分を主張してくる人がいます。

 しかしながら、寄与分が認められるには、”親族間において通常期待される程度を超えた貢献”が必要となります。
私も法律相談で寄与分の相談を受け、家庭裁判所での調停手続や審判手続となった場合に、家事審判官(家事手続における裁判官のことです。)から、”寄与分が認められるには相当な程度が必要だ”と言われました。
その家事審判官は、「親子であれば、子供が面倒を見るのは当然でしょ。」ということで、これを法的に言うと、直系血族間の扶養義務というものが民法877条に決められていて、その義務を履行したに過ぎないので、遺産の”維持”に寄与したとまでいえないというものです。(余談ですが、その調停手続では、遺産の土地も問題となり、私の相談者が被相続人の土地の上に、建物を建てて、被相続人と一緒に住んでいたというもので、相談者が被相続人の生活費も支払っていたのだから、賃借権が成立すると主張したところ、家事審判官にこれも会えなく却下されました。)

 ですから、本件で言えば、お兄さんがお父さんの面倒を看た、それも自分と妻で看たという主張でも、奥さんの分は、お兄さんの履行補助者としての扶養義務の履行、もしくは、同居の親族としての扶助義務の履行という程度でしか認められなければ、なかなかお兄さんの寄与分の主張は難しいと思います。
たとえば、家族では面倒見切れない痴呆症のレベルなので、お兄さんが自腹で看護する人を雇って、その費用を支払っていたとか特殊な事情があれば別でしょうか。調停となった場合には、審判官のみならず、寄与分などを調査するための調査官もいますが、なかなかハードルは高いと思ったほうがいいでしょう。