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最近の解決事例紹介(不動産編)− 境界侵害事件 2014.6.1

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 都内に土地建物を所有している人から隣地との関係で相談を受けました。相談者の敷地の西側土地の所有者と北側土地の所有者との間で、境界を相互に確認したのですが、北側土地所有者のブロック塀が相談者の敷地まで越境したままなので、その侵害を除去したいという事案でした。

 相談者の話によれば、三者で境界を確認したということでしたが、当方から、土地家屋調査士が作成する境界確認書に三者が署名捺印しているのかを聞いたところ、相談者と西側土地の所有者は既に署名捺印し確認書原本も受領しているが、ちょうど北側土地所有者については署名捺印したものの、まだ確認書原本を受領していないということでしたので、何はともあれ三者確認書については、北側土地所有者にも受領してもらうことが重要ということをアドバイスし、相談者から境界侵害のブロック塀のことは特に触れることなく、境界合意書のみを北側所有者に受領してもらい、受領確認も取得しておきました。
 その上で、相談者の代理人として当職から、北側土地所有者に対して、境界侵害問題についての話し合いを申し入れ、先方と話し合いの場を設けることとなりました。私からは、土地境界については、既に三者で合意確認書ができているので、争いはないはずとして、境界を越境しているブロック塀については、所有権に基づく妨害排除として直ちに自分の境界内で収まるようにブロック塀を切り取ってほしい旨要請しました。当方からの要請書面が届いたころ、先方に電話して実際に現場を見させてほしい、その上で解決についての話し合いをしたいと申し入れました。

 先方も当方申入れを受け入れ、早速現場に出向き、先方のブロック塀の越境状態を確認し、その上で、先方当事者と話し合いをしました。先方も、三者境界について自ら署名捺印して原本を受領してしまった直後なので、境界について蒸し返すことができず、越境状態は認めるが、ブロック塀は、ブロックの真ん中で切り離すと構造上弱くなるので、“切りのいいところで”切断し、ブロック塀を再築する際には、先方敷地内で収まるようにするのでその旨合意書を作成することでどうか、ということを提案してきました。
 確かに越境している構築物がある場合、その侵害状態を相互で確認した上で、越境状態の解消は先にするという内容の合意書を作ることはありますが、越境状態が長期にわたる場合には、合意書の紛失や特に第三者に敷地を売却するようなときにきちんとかような合意を引継ぎすることができるのかというリスクがあり、その場合、越境している方が、時効取得を主張してくることも考えられ、物理的に越境状態を解消できるのであれば、やはりその時点で処理しておくべきです。

 ということで、今回も先方からの申し入れは丁重にお断りし、越境状態が解消されるべく工事をしてもらうことを説得し、任意に越境状態を解消してもらえないときは、裁判で当方が解体工事を実行するような判決をもらって強制執行するほかないということも説明して、最終的には先方で解体工事をしてもらうことで解決することができました。
 相隣関係は、一旦こじれると解決に至るまで多大な時間・労力がかかることにもなりかねませんので、できれば当事者間での話し合いで解決できることが一番であることを改めて認識させられた事案です。
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