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最近の解決事例紹介(不動産編)− 共有物分割訴訟判決に基づく競売申立 2015.8.1

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 当事務所の依頼者は、東京都下に所在する土地およびその上のアパートを、親族と持分共有していました。ところが、他に親族間で財産を巡る争いがあったことにも起因して、当該土地建物について売却処分してしまおうと決意したのですが、共有している親族が同意せず、結局、「共有物分割の訴え」という訴訟を提起し、裁判所から、当該土地建物を競売して、売得金を共有持分に応じて分配するという判決をもらいました。
 民法256条1項本文には、「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。」という規定があり、共有物というのは、ある意味不安定な状態であるので、共有持分を有する者は、原則、何時でもその共有状態を解消できるというものです。通常まず、共有者間で話し合いをして分割方法、例えば、更地の土地であれば真ん中に境界線を引いて“現物”として分割する方法とか、一人の共有者が共有物全部の所有権を取得する代わりに持分を譲ってくれる他共有者に“代償金”を支払うという方法とか、いっそ共有物を全くの第三者に売却し、その売却から得た金銭を持分に応じて分配する方法とかが考えられます。しかし、任意での話し合いで分割方法が協議できない場合に備えて、民法258条は、裁判による共有物の分割という手続を定めています。条文を読みますと、1項で「共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。」と規定し、2項で「前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。」と規定しています。
 本件においても、結局アパートが建っていますので、現物分割は難しく、競売により、その売得金を持分に応じて分配するという判決がなされました。そこで、依頼者としては、当事務所に、当該判決に基づき土地建物の競売手続を進めるように依頼されました。かような共有物分割訴訟の判決に基づく競売の申立というのは、例えば、抵当権に基づく競売や、強制執行による競売などとは異なり、「形式競売」と称される手続ですが、通常の競売手続に準拠されて進行するものです。
 本来ならば、共有者同士協力して、アパート内に居住する賃借人を立ち退かせた後に、空物件(ほとんどが土地としての価値ですが)として市場で売却するのが、一番ベストなのですが、競売となると、賃借人の立退きに関る費用や、物件内を事前に内覧できないことなどによるいわゆる競売減価により、どうしても市場での売却に比べると価格が低くなってしまいますので、いわば泣く泣く競売を選択をせざるを得ないということでした。しかしながら、昨今のアベノミクスで不動産価格も上昇しているせいか、心配していたほど競売減価の影響を受けたような価格ではなく、第三者に競落され、無事依頼者にも持分に応じた配当がなされ、一件落着となりました。
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