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鎌倉殿の13人

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[鎌倉殿の13人]2021.2.1

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 三谷幸喜の映画に「12人の優しい日本人」という作品がある。アメリカ映画の「十二人の怒れる男」からインスパイアされ、「もし日本にも陪審制があったら?」という架空の設定で描かれた法廷劇です。「十二人の怒れる男」では、陪審員の多くが有罪を主張する中、一人の陪審員が無罪だと主張し始めたので、陪審としての結論である評決に至らず、そこで喧々諤々の討論が始まるというストーリーです。
 米国の陪審制では、評決は陪審員の全員の合意が必要ということになっています。「12人の優しい日本人」でも、陪審員の多くが“無罪”を主張する中、一人の陪審員が有罪を主張し始めたので全員一致の評決に至らず、喧々諤々の討論が始まるのですが、日本版の方が謎解きの要素があり、三谷幸喜のウイットに富んだ展開で結構面白かったという記憶があります。「12人の優しい日本人」が団結して一つの結論に向かって協力していくという話です。

 昨年、2022年のNHK大河ドラマが発表され、三谷幸喜脚本の「鎌倉殿の13人」に決定されたとのことです。三谷幸喜は、大河ドラマは2004年に「新選組!」、2016年に「真田丸」を手掛け、いずれも好評だったので、三度大役が巡ってきたのでしょう。また、三谷幸喜は映画でも「清須会議」という織田信長死亡後の織田家の権力争いをコミカルに描いた作品を手掛けており、歴史ものについても評価が高いのでしょう。主役である北条義時に若手俳優で評価の高い小栗旬をもってきて、大泉洋などの“三谷組”のベテランを配して、1年も前から前評判が高く、これから始まる2021年大河ドラマの渋沢栄一の「青天を衝く」がかすむほどです。

 「鎌倉殿の13人」はどんな話かというと、“平安末から鎌倉前期を舞台に、源平合戦から鎌倉幕府が誕生する中で繰り広げられる権力の座をめぐる駆け引きを、その勝利者となり北条得宗家の祖となった北条義時を主人公に描く”とのことです。鎌倉幕府初代将軍である源頼朝が不慮の事故で死亡した後、息子である源頼家が将軍(鎌倉殿)の座につきましたが、頼家が独断的な政治を行うことに対して御家人たちから反発の声が上がり、有力御家人13人の合議による政治体制に移行したことをもって“十三人の合議制”と言われることになりました。十三人のメンバーは、頼朝の側近であった大江広元・中原親能・梶原景時の他、頼朝の妻北条政子の父親北条時政、弟の北条義時、有力御家人衆である三浦義澄、和田義盛、安達盛長、比企能員などで構成されていました。
 しかしながら、十三人の合議制は、「12人の優しい日本人」のように一致団結すると言うことにはなりませんでした。謀略、武力行使を通じて、北条義時が執権としての権力を固めていくために、13人のうち大江広元・中原親能ら文官官僚はともかく、武力を有する反対勢力を次々と消し去って行ったからです。
 まず、義時は、1199年に梶原景時を失脚させました。北条氏の一番のライバルがこれでいなくなったのです。翌1200年には、梶原景時追放の先鋒であった三浦義澄、安達盛長が“突然”病死しました。ライバルがいなくなったらそのライバルも用済みと言った感があります。1203年には、源頼朝の乳母であった比企尼の甥である比企能員が比企の乱を起こした件で比企氏は滅亡し、1205年には、何と義時の実父である北条時政さえも追放してしまったのです。そして、1213年に、和田合戦により、和田義盛を討ち、これで十三人のメンバーのほとんどの有力者を“消して”しまい、北条義時の北条得宗家としての権力を確立させたのです。まるで、スターリンや、金日成が、その独裁者としての地位を確立させるために、ライバルを次々と抹殺していったことを彷彿とさせるものです。このように、鎌倉殿の13人は、北条義時の血みどろの独裁確立の話ですから、はて三谷幸喜はどのように話を進めていくのでしょうか、さわやかなイメージがある小栗旬が北条義時を演じるのは非常に違和感がある次第ですが、映画「清須会議」で羽柴秀吉の野望を面白おかしく大泉洋に演じさせた三谷幸喜ですから、今回も見どころある大河に仕上げることを期待しています。
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